Hiroki Naganuma

「査読者ガチャ」を防ぐには?

査読プロセスで不満を抱くことは確かにありますが、まずは自身の論文が読者に正確に伝わるよう書かれているかを振り返るべきではないかと思います。たとえば・・・

こうした点を見直し、査読者がそのコメントを書いた背景を一考することが、リバッタルやリビジョン、あるいは次の論文執筆に向けた改善につながるでしょう。

伝わる論文 (谷合竜典さん)

【連載】「伝わる論文」を書くための心得:はじめに

【連載 伝わる論文】論文の基本構成

【連載 伝わる論文】Introduction の書き方

基本的なパラグラフ構成
標準スタイルでは、Introduction を概ね以下の流れで構成します。

1. 取り組むテーマや主題の宣言とその重要性の説明
2. その主題における研究動向の紹介
3. 先行研究を踏まえた問題提起と研究フォーカスの提示
4. 本研究での解決アイディアの概説("In this work/study, ..." で始まる)
5. 本研究による結果と貢献の主張
- Introduction において忘れてはいけないテクニックの 1 つとして、研究のコンセプトを Figure 1 として視覚的に提示することが挙げられます。
- このような図は、しばしばティーザー画像(teaser image)と呼ばれます。
- Figure 1 では、その研究で最も重要な結果を示すべきであり、それが何かは個々の研究によって異なります。

- 例えば、高速化がメインであれば、速度と精度の関係を既存手法と比較したプロット [Redmon & Farhadi 2018]。
- 結果の美しさや正確さが重要であれば出力画像の比較 [Kerbl et al. (SIGGRAPH 2023)]。
- 新たな問題の提唱であれば問題設定を示した図 [Taniai et al. (CVPR 2016)]。
- 理論体系の構築であればその体系を表した図や表などが考えられます。

【連載 伝わる論文】Title & Abstractの書き方

- 背景と動機(1~2文): 本研究が取り組むトピックの重要性を示す
- 問題提起(1~2文): 現在の課題や未解決の問題を簡潔に述べる
- 提案手法の概要(2~3文): どのようなアプローチで問題を解決するかを説明
- 主要な成果(2~3文): 定量的または定性的な結果を強調し、本研究の有効性を示す
- 結論とインパクト(1~2文): 本研究の意義や波及効果を示唆(省略することもあり)

【連載 伝わる論文】Related Workの書き方

このスペースを活用して、なぜ特定のアプローチと比較実験を行わなくてもよいのかを説明(言い訳)する場合もあります。
例えば、リアルタイム動作を研究フォーカスとしている場合、リアルタイム手法ではない研究事例の文脈に対して、これらは今回のフォーカスではないと言うことができるでしょう。

さらに、Related Workの最後で、これまでに議論した内容を包括的にまとめ、先行研究の文脈の中で今回の研究が占める位置を再度明確にすることで、この章の目的がさらに鮮明になるでしょう。

【連載 伝わる論文】Problem & Methodの書き方

手法説明で気を付けるべき10原則

- すべての説明が明瞭かつ正確であること
- 前提となる問題設定が明確であること
- Introductionで提起された問題にきちんとフォーカスしていること
- 提案手法の中核をなすアイディアの説明が明瞭なこと
- 提案手法を採用した意図や想定される原理が明確であること
- 提案手法の背景にある著者の思想や哲学が伝わること
- 手法の全体像と主要な流れが容易に把握できること
- 既存部分と提案部分の区別が明確であること
- 一貫した直観的な記号スタイル(notation)を使用していること
- 式に数学的な矛盾がないこと

【連載 伝わる論文】 Experimentsの書き方

Reference